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それ誰のせい?


『耳のなかの小人』(1996年)クリスティーネ・ネストリンガー作 松沢あさか訳 さえら書房

今日の一冊はコチラ。人間に見つからないように、人間と同じような暮らしをしている小人ものも多い中、こちらは人間の身体に住みついている小人!

《『耳の中の小人』あらすじ》

子どもにも、いろいろなやみはあります。教室ではすきな子のよこにすわれない。きらいなとなりの子からはさんざん意地悪される。朝はパパのところから学校へ行き、学校からはママのところへ帰る。夕方にはまたパパのところへもどらなくちゃならない。聞いているだけでもくたびれてしまいます。そんなアンナの力になってくれる人はいないかしら。いました。つよい味方の小人さんが…。アンナの耳の奥に眠たがりやの小人が住みつきました。さびしいときや退屈なときは話し相手になってくれるし、なやみごとには手をかしてくれます。でも、おせっかいがすぎて…。

(BOOKデータべースより転載)

著者のネストリンガーは国際アンデルセン賞作家賞を受賞しているオーストリアの作家さん。学校生活や友だち関係は万国共通なので、面白くて、本が苦手な子でも小学校中学年あたりからグイグイ読めそうです。

主人公のアンナの置かれている環境は、結構過酷です。離婚した両親の間を行ったり来たり、大人に振り回される。でも、それがとても明るくユーモラスに描かれています。

小学校1年生にしては、彼氏彼女を作ったりとか早熟だなあ、とも思うのですが……。

ところで、もしかしたらあの人の耳の中には小人が住みついてるのかもしれない、と思うことはとっても愉快で素敵なことだなあ。いや~な人に出会っても、耳の中の小人に影響を受けてるんだわ、と思うだけで、なんだかその嫌な相手に対して寛大な気持ちになれる気がします。

人間関係だけの狭い世界は息苦しい。何か落ち度があったら、誰かを責めたりしがちだから。でも、そんなとき、実はコレ、小人のしわざ、って思えたら!?ええい、小人のせいにしちゃえ。いや、小人に申し訳ないか(笑)。でも、小人が存在することで、ギスギスした世の中が、もうちょっと丸くなるような気がするんです。

こういう物語を読むことで、自分の中に小人が住みつく。

孤独なときになぐさめてくれるし、楽しませてくれる。

妄想?いえいえ、空想力です!‟事実“ではないけれど、こういう空想による‟真実”が今の世の中には足りなくなってきているんじゃないかな。大人も読んで、空想力鍛えたいものです!

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