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落ち着きのない子は問題児?


『もう、ジョーイったら!2 父さんと、キャッチボール?』

(2009年)ジャック・ギャントス作 前沢明枝訳 徳間書店

今日たまたま目にした東洋経済オンラインの記事。発達障害を発表している、モデルで俳優の栗原類氏のお母さんのインタビュー(コチラをクリック)がとってもよかった。

というわけで、今日の一冊は、問題児と捉えられがちな発達障害の子の話を、ユーモラスに明るく描いた物語です。ジョーイシリーズの2作目ですが、1作目を読んでなくても大丈夫。

ああ、ジョーイはこんな風に考えてるんだ、こんな風に夢中になって周りが見えなくなっちゃうのね、etc.etc.がよく分かる良書です。とても読みやすいので、本が苦手な子でもいけそう。

《『父さんと、キャッチボール』あらすじ》

ジョーイは、もうすぐ小学校五年生になる男の子。以前は、どうしてもじっとしていられず、「問題児」だと思われていたけれど、自分に合った貼り薬を使うようになってからは、落ちついて考えたり、行動したりできるようになった。夏休みを、ずっと会っていなかった父さんとすごすことになったジョーイは、チワワのパブロを連れて、父さんとおばあちゃんが暮らす町へ向かう。はじめはいろんなことがうまくいって、父さんがコーチをしている少年野球にも参加することになったけれど、じつは父さんは、「ジョーイより大きくて、ジョーイよりカゲキ」だということがわかってきて、やがて、たいへんなことが…?個性ゆたかな少年の内面と、問題をかかえながらも、たがいにだいじに思いあう父と子の絆を、ユーモアあふれる筆致でこまやかに描き出した、人気シリーズの第二弾。「問題をかかえた友だちのことを知る手がかりになる本」として、アメリカのほとんどの学校図書館に備えられている。ニューベリー賞最終候補作。全米図書館協会優良図書選定。

(BOOKデータベースより転載)

■ 発揮される昔話の力!?

いやあ、ここに登場するお父さんのクレイジーなこと!ぶっ飛んでます。おばあちゃんも!子どもの話を全く聞かずに、一方的にしゃべり、自分の夢を押し付けるお父さん。子どものお小遣いから自分用のタバコを買わせる、ヒドイおばあちゃん。でも、お父さんもおばあちゃんも、どこか憎めない。

いままでジョーイにまったく連絡を取らなかったお父さんが、改心したきっかけとなったのが〈おはなしランド〉という場所。ハンプティダンプティやジャックと豆の木などがある、物語のテーマパークが、人生を見つめ直すきっかけとなったというのは面白い!

そんなことがきっかけになるわけない、と思う人もいるかもしれないけれど、昔話の持つ力ってすごいんですよ。こちらの本を思い出しました。

『‟グリムおばさん”とよばれて』

以前書いた感想はコチラをクリック。刑務所に入ってる人たちも心動かされちゃうんですから、ジョーイの過激なお父さんが改心するきっかけになるのも頷ける。

■ 薬処方は誰のため?普通って何?

ただ・・・、落ち着かせるために処方される貼り薬っていうのは・・・どうなんでしょうね?

発達障害に対して、薬が必要か否か。

勉強不足なので、外野が勝手なことを言ってはいけないかもしれません。でも、ちょっと考えたい。

ジョーイのお父さんは、意志の力があれば薬なんていらない!とジョーイの貼り薬を全て捨ててしまいます。お父さんの言うことも一理あり。でもね、ジョーイは不安で不安で仕方ないんです。薬を貼ってるとお母さんにウソをついていること、自分がまた元のように自分でも抑えの効かない自分になってしまうこと・・・。意志の力で片づけてしまってよい問題ではないよなあ。

ジョーイは普通になりたくて、自分が普通でいられなくなることに不安を覚えています。

だから、貼り薬は、周りだけでなく、ジョーイ自身にも平穏をもたらしてくれたもの。

でも、ちょっと待って?もし、周りが「普通でいることがいい」と刷り込まなかったら?ジョーイがジョーイのままでいられたら?苦しむことはなかったのかな?って。

そんなとき、こちらを思い出すのです。↓

行き場を失った子たちが集まってくる大阪の公立小学校。不登校ゼロ。その子に変わることを求めるのではない、周りが変わることで結果的にその子も変わっていく。そのときの感想はコチラをクリック

周囲の期待に翻弄されながらも、最後にはきちんと自分の気持ちに従えるジョーイ。なんて真摯に生きてるんだろう!ジョーイに振り回され、疲れながらも、愛情たっぷりのお母さん。ジョーイのお母さんが、このお母さんでよかった!!!

全世界のジョーイたちにエールを送りたくなる、そんな物語です。

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