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その花、花明かりの活躍かも?


『引き出しの中の家』(2010年)朽木祥作 ポプラ社

小人のものって、探してみると絶版のものが多かったり、あまり新作が出ないイメージ(私が知らないだけかもですが)。

海外ものだとアリエッティの原作になった、メアリー・ノートンの『床下の小人たち』シリーズ、日本だったら佐藤さとるさんのコロボックルシリーズが有名すぎるせいでしょうか?

そんな中今日ご紹介する、朽木祥さんの物語は、女の子がときめくようなものを全部入れ込んだような物語。個人的には、こういう甘美で感傷的なのって、こそばゆくなってしまうのですが、好きな人は多いだろうな。

《『引き出しの中の家』あらすじ》

七重がつくった、引き出しの中の小さな家に、ある日とても小さな女の子、独楽子が現れます。 独楽子は、昔から花のそばにいて、花を美しく咲かせると言われている「花明かり」。 彼らのためにあるような「盆栽」の唐楓の林で、二人は念願の紅葉狩りを楽んだり、お花見の約束もするのですが、約束は果たされないまま離れ離れに……。 やがて時が経ち、七重のいた家に、今度は現代の少女、薫がやってきます。 小さな小さな人たちと、時代を隔てた二人の女の子たちのあたたかな交流を描いた物語。

朽木さんの物語って、はかなげで美しい物語が多い。ちょっといいところの子どもを描くことも多いためか、日本語も丁寧で、ほっとします。あふれ出る古き良き昭和感(笑)。一方で、平成を描くときは、受験を絡ませてきて、悪いママじゃないのだけれど、勉強第一でどこか子どもをきちんと見れていない現代の母親像を描くパターンが多いかも。

美しく咲いた花には、実は「花明かり」と呼ばれる小人がそばにいる……こういう存在が助けてくれているという思いってとっても大事!自分の力だけじゃ、植物って育てられないんですよね。目に見えない(ある人たちには見えるけど)存在の力が働いて、初めて素晴らしいものになる。確かに盆栽って、まさに小人たちのため、って感じですよね。

これからは、美しく咲いた花や、見事な木々を見かけたら、「花明かり」を思い出せそう。読んだ後からは、植物を見る目が変わるかもしれない、そんな物語。

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