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誰の訳で読む?永遠のハックルベリー


『ハックルベリー・フィンの冒険』

 (2017年)マーク・トウェン作 

 千葉茂樹訳 岩波書店

夏だ!冒険だ!

というわけで、夏休みに読みたい一冊が、古典名作であるコチラ。誰もが題名は知っているであろうこの物語、実は、何度も挫折したんです。『トム・ソーヤの冒険』も東京子ども図書館の読書会(そのときの様子はコチラをクリック)の課題本だったから、なんとか読めたようなもので。

基本的にドキドキするのが苦手なので、冒険もの、ミステリーものなど苦手です。なんなら、遊園地もスポーツ観戦も(笑)。安心して読みたい派。

いかに面白いといわれようとも、こればかしは好みだから仕方ない。

そんな冒険もの苦手な私が、やっと読めたのが、上記の千葉茂樹さん翻訳によるものでした。ハックルベリーは色んな方の訳で出ているのですが、どなたの訳でも、途中で挫折していました。訳によって、一人称も「ぼく」「わたし」「俺」「おいら」などなど。「わたし」は大人っぽすぎて違うなあ。一番自分の中のイメージと近いのは「おいら」なのですが、千葉さんは「ぼく」を使っていました。

あとがきによると、千葉さんが気を付けた点は2点。

① 方言を割愛:方言がこの物語の特徴でもあるが、方言の表現にこだわりすぎると、むしろ不自然になる。との考え。

② Niggerという差別用語の訳し方:200か所以上登場するこの言葉、「くろんぼ」といった差別用語での訳語を使わない。

Niggerに関しては、訳注や解説で時代背景を説明した上で使うケースが多いそうなのですが、千葉さんはいくら時代背景や問題点を解説したところで、本文中に繰り返す出てくることで、そうした言葉が子どもたちの頭に残ることを避けたかったのだそう。

すごく共感しました!

個人的には、時代背景や問題点の解説つきでの、原文を活かした訳もあり(例えば柴田元幸さんの訳とか)だとは思うのですが、解説を興味深く読み込めるのは大人だし、読みづらさでひっかかってしまっては物語に入りこめない。子どもはもっと純粋に物語を楽しみたいですよね。

そんなわけで、なかなか冒険や彼らのいたずら精神に共感できない私ですが、千葉さんの訳のおかげで今回は読み通すことができました。

やっぱり名作。一度軌道に乗って読み始めれば、面白い!男の子は好きだろうなあ。あとは、そんな男子たちが理解不能というママさんたちにもおすすめです(笑)。

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