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物語とシンクロする現実にゾクッ


『花になった子どもたち』(2007年)ジャネット・テイラー・ライル作 

 多賀京子訳 市川里美絵 福音館書店

今日の一冊は、ガーデニングでもイギリスではなく、アメリカが舞台のこちらの物語。市川里美さんの表紙画が素敵です。

市川さんって、海外ご在住なんだそうで。だからなのか、日本人だけれど、描く絵の雰囲気は外国。

【『花になった子どもたち』あらすじ】

オリヴィアは9歳、妹のネリーは5歳。母親を亡くしたため、夏休みは年取ったミンティーおばさんのもとにあずけられることに。ミンティーおばさんのうちには、古い大きな庭があり、ある日小さな青いティーカップがこの庭から出てくる。まもなく、家の本棚で見つかった妖精の物語にも、青いティーカップが出てくることが判明し、心躍るオリヴィアとネリー。なぜなら、物語の中に〈庭に埋められたティーカップとポットを全て探し出したとき、妖精のまじないは解け、花になった子どもたちがもどってくる〉とあったからだ。それを信じたネリーは、オリヴィアに協力してもらい、必死でカップを探し始める。果たしてカップは全て見つかるのか。子どもたちの魔法はとけるのか・・・。

絶版のようですが、2008年の小学校中学年の部で、課題図書になっていたこともあって、中古はいっぱい出回っています。これ、今の中学年の子、読めるのかしら、という疑問もちょっと浮かんだりするのですが・・・。

妹思いで頭の回転の速い姉。妹は、ちょっとこだわりが強いタイプで、彼女独自のルールがあり、それが上手くいかないとヒステリーを起こします。今ならきっと何等かの病名がつけらてしまうんだろうな。

そんな姉妹が預けられている屋敷で見つかるのが、昔そこに住んでいたという作家が書いた物語、『花になった子どもたち』。悪い妖精に、子どもたちが花に変えれてしまうんですね。その魔法を解くカギとなるのが、庭に隠されたティーポットやティーカップなのですが、一つ、また一つとネリーたちによって見つけだされていく様は、ゾクッとしてます。

物語とシンクロする、こういうのいい!

ただ、アメリカだからなのかな?イギリスのように長い歴史がないからか、どこか浅く感じてしまう・・・。伝承がないからなのかしら?うーん。誰か教えてください。

個人的には、おばさんという人があまり見えてこないのも残念でした。

この姉妹にオロオロ振り回されている感じ。とても優しくて理解があるのだけれど、おばさん自身の魅力が伝わってこなかったのが残念。だから、物足りなかったのかな?

ストーリーはちょっと『銀の馬車』ともかぶるのですが、『銀の馬車』のほうは、祖母が人間的に出来ていて、そこの魅力も大きかったので、大人についても描いてほしかったなあ。

(『銀の馬車』の記事はコチラをクリック) 

でも、子どもが読めば、そんなこと気にならないのかもしれません。

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