サンタ同様信じたい存在
『緑の精にまた会う日』(2012年)リンダ・ニューベリー作
野の水生訳 平澤朋子絵 徳間書店
道のあらゆるところで、花が咲き乱れ、ピンク、白、紫、黄色などと緑のコントラストが本当に美しい季節ですね。春は心も軽やかで、歩いているだけで楽し~い。
園芸が得意な人をgreen thumb(緑の親指)を持ってる、と表現しますが、私はその逆。
枯らす天才とでもいいましょうか・・・単なるものぐさで何かを育てるのに向いてないと言いましょうか。ええ、ヒドイんです。
でも、好きなんです。お庭とか花とか緑とか。なので、もっぱら借景を楽しませていただいています。借景バンザイ!
今日の一冊は、green thumbと呼ばれてる人たちには、実はこの人がついてる!?と思わせてくれるような物語。Green man(緑の精)のお話です。平澤朋子さんの表紙絵いいなあ。ちなみに原書の表紙はこちら↓
■ サンタクロース同様信じていたい存在
イギリスといえばガーデニングに夢中な人が多いことで有名。うん、こういうことってあるのかもしれないなあ、って思わせてくれるお話。
主人公のルーシーに緑の精であるロブの話をしてくれたのはおじいちゃん。いつか自分でも見たい見たいと思っていたら見えるようになったのに、その矢先におじいちゃんは亡くなってしまうんです。そして、おじいちゃんのおうちは売りに出されることに・・・ロブはどうなっちゃうの!?
祖母や両親は、ルーシーがロブの話をするとあまりいい顔をしなくて、もうちょっと現実的になってほしいと願っているんですね。分かってもらえない・・・ルーシー自身も、だんだんとあれは自分の思い込みだったんじゃないか、とすら思うようになってしまいます。
うーん、夢見がちなのってそんなに悪いこと?むしろ、それを忘れた人が多くなってきたから、世の中おかしくなってきたんじゃないかしら。サンタクロース同様、信じていたい大事な存在なのに。そんな思い。
■妖精のイメージが変わる!?
ところで、イギリスでは妖精学なるものが確立されていて、そこに出てくる妖精は私たち日本人が抱きがちな、ふわふわ羽のはえた可弱くて透明感のある美しいのとはちょっと違うんですよねえ。どっちかというと小人、しかもゴブリン系!?に近い。大きさも結構大きい。この物語に出てくるロブは、グリーンマンと炉端のロブという伝承から着想を得ています。
そんな妖精に興味のある人にはこちらもおすすめ↓
『妖精ディックのたたかい』
てくてく、てくてくサムは歩いてロンドンに向かいます。本能で、呼ばれている方向が分かる。
自然と共に暮らしていれば、本能もとぎすまされるんだろうなあ。私たちの本能鈍りすぎっ!そんなことも思います。
心温まるラスト。
小学生高学年から。花好き、園芸好きさんにもおすすめです。