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我らリンドグレーン応援団


『長くつしたのピッピ』(2018年)

 アストリッド・リンドグレーン著 

 イングリッド・ヴァン・ニイマン絵 

 菱木晃子訳 岩波書店

あの!あの!みんな大好き『長くつしたのピッピ』

このたび原書と同じ表紙絵、挿絵で新訳が出るとのことで、訳された菱木晃子さんの講演会@銀座教文館ナルニア国に行ってきました~。

8月3日に出たばかり!

もうね、スウェーデン文学といえば菱木晃子さんですよね。NHKカルチャーラジオ、文学の世界『大人が味わうスウェーデン児童文学』講座のときの印象から、真面目で素朴な方なのかな、なんてイメージしていました。

そしたら・・・、全然違いましたー(笑)!

もちろん、いい意味で。とおってもチャーミングで、お話好きで、会場も笑いが止まらず、楽しくて楽しくて、なんて幸せな時間。

また、岩波書店の編集担当の方もいらして、制作舞台裏を菱木さんとともに話してくださったのですが、こちらの方もいい意味でイメージと違いました。

岩波書店の編集者の方って、あれだけ質の高いものを出し続けているから、正直ちょっと恐れ多いというか、とっつきにくいのかしら(ゴメンナサイ)、と勝手に思ってたんです。

そうしたら、とにかくピッピが好きで、ラスムスが好きで、そしてなんといってもカッレくんに恋に落ちた過去があって(笑)。あら、親近感。お二方とも、とっても素敵で、キラキラしていました。

■ 新訳は必要?不要?

ところで、こちらは旧訳。実は、個人的には旧訳バージョン桜井誠さんの挿絵が大好きなんです。黒姫童話館まで見に行ったほど。

今回採用されているニイマンの絵は、リンドグレーン自身が「ピッピはこれでないと!」と一番気に入っていたそうなのですが、私は私を育んでくれた桜井さんの挿絵から正直離れられません。

旧訳バージョンに何の違和感も抱いてなかったので、正直新訳の必要あるのかな?って思ってたんです。菱木さんの訳すものは全て好きではあったけれど。

でも!!!もう翻訳されてから、50年以上もたっているんですって。単語も今の子が読んだら違和感があるものが増えてきてしまっている。例えば、

(旧訳)コーヒー茶碗 → (新)コーヒーカップ

(旧訳)味付けパン → (新)シナモンロール

など。着物という単語も、いまの子が読んだら和服をイメージしてしまう。私なんかは、そのレトロな響きにワクワクしていたけれど、かろうじて意味通じる最後の世代だったのかな?

今の子たちが、単語が引っかかってしまって、物語に入りこめないのなら、それはやっぱり考え直さなければならない。

原書自体も、何回か改訂されているそうで、2016年版では黒人という単語をカットしているそうです。逆に出版当初、あまりにも教育上よくないと叩かれて、リンドグレーン自身が削除してしまった、素足で砂糖の上を歩くシーン、こちらは復活したそうです!

■ 地下行きを防げ!

菱木さんを新訳に駆り立てたもの、それはあるところで講演会をしたときに、リンドグレーンを知らない、ピッピを聞いたことはあっても読んだことがない人が、予想以上に多かったこと。その危機感だったそう。このままでは、大好きなカッレくんも、(図書館の)地下書庫行きになってしまう!そしたら、どうやって子どもたちは彼らと出会えるの?って。

そうそうそうそう!んもう、首がもげそうになるくらい頷きたくなりました(笑)。

小学校卒業して以来、児童文学はほとんど読まなかった(一般小説に移行)私でしたが、児童文学と再会するきっかけは、実はピッピだったんです。

年に2回、児童養護施設から我が家にホームステイしに来る里子ちゃんがいるのですが、本の虫であった彼女(当時小4)がピッピを知らなかったことに衝撃を受けたんですね。で、彼女に手渡す本を下読みしているうちに、どんどん児童文学にハマって、今に至っているんです。

「リンドグレーン応援団としては、今後の50年間のために新訳を出したい」

菱木さんと、編集者さんの熱い思いを聞いて、目頭が熱くなりました。そうだよなあ、今後の50年のためには、やっぱり新訳が必要よね!って。

■ 買わなければ消えていく

でもね、売れなければ(私たちが買わなければ)次の刊行につながっていかないんです。カッレくんまでたどり着くためには、売れなければいけないのが現実。

その話聞いたら、今回は旧訳と旧挿絵が好きだから買わなくてもいいかな、と思ってたのですが、そりゃ買っちゃいますよね~。

買い物って投票なんですよね。何に残ってもらいたいのか、どこの店が存続してもらいたいのか。ここに、投票せずして、どこに投票するんだ、自分!?って。みなさんの熱い熱い思いが乗っかっているんですもの。熱量が違うんだもの。良いに決まってる。

岩波書店では、今後既存の旧訳も残しつつ、並行して新訳のリンドグレーンコレクションを刊行していくそうです(楽しみ!)

最後に菱木さんが、ご自身の新訳バージョンを朗読してくださったのですが、これがまたよかった!

菱木さんの日本語はとてもリズミカルで、耳に心地良いんです。これは、子どもたちに読み聞かせよう、ってすぐに思いました。

旧訳が好きな方も、今回の新訳、本当におすすめです!

リンドグレーンを残していきたい、リンドグレーン応援団の同士の方、ぜひ♪

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