日常からすんなり非日常へ
『きかせたがりやの魔女』(2016年)岡田淳著
はたこうしろう絵 偕成社
今日の一冊も魔女ものから。
岡田淳さんの話は、さらさらっと読めて、ほっこり幸せな気分になれるんだなあ。心の中にちょっとしたウキウキした気分が湧き起ってくる。
小学校中学年からですが、大人が読めば1時間もかからない。読み聞かせてあげても楽しいかも。
【『きかせたがりやの魔女』あらすじ】
ある日ぼくは学校で、はでな化粧のふしぎな女の人と出会う。その人はこれから物語る話を聞いて欲しいという。どの小学校にも魔女か魔法使いが住んでいるのだそうで、ぼくがはじめに聞いた話は「踊り場の魔女」という話だった。お話をきかせるのが好きなこの不思議な女性はどうやら魔女らしい・・・こうしてぼくは学校内でふいに呼び出されては、きかせたがりやの魔女から、魔女と魔法使いの話を、6つきくことになる・・・(偕成社ホームページより転載)
軽やかでクスッと笑えて楽しいお話が6つ。
学校ものって、最近のものだとどうしても人間関係の悩みだとか、ツライ場所として描かれることが多いのだけれど、岡田淳さんが描く学校は楽しい場所。それが、何とも言えずいいんだなあ。
もちろん、いじめなんかも出てきたりはするけれど、さらっと描かれていて、それよりもそれがきっかけで一人でいると不思議なことが起こるのが面白い。そう、不思議なことって、一人でいるときにしか起こらないもの。一人でいるのも悪くないなあ、いや、むしろ一人になってそんな体験してみたい!そんなことを思わせてくれる。
そして、ふと、本当にこういうことってもしかしたらあるんじゃないかな、っていう気分にさせてくれる。岡田淳マジック。日常からすんなり非日常へと連れて行ってくれる。しかも、その非日常(ファンタジー)が、あまりにも自然だから、非日常までもが日常に思えてくるという不思議。
個人的には、なぜ魔女が聞かせたがっていたかの、理由が新鮮だったなあ。そして、ちょっとジーンとしました。いわゆる、世間一般がジーンとする理由じゃないのだけれど。私も来年はチャレンジしてみたい分野。って、何のことだか気になった方は、ぜひ手に取ってみてくださいね。