石井登志子さん講演会@ナルニア国
『リンドグレーンの戦争日記』(2017年)
アストリッド・リンドグレーン著 石井登志子訳 岩波書店
教文館ナルニア国@銀座で行われた石井登志子さんの講演会『リンドグレーンの戦争日記』に先日行って参りました。
小学生のころ、『長くつしたのピッピ』をはじめ、リンドグレーンの書く物語が大好きでした。とにかくワクワクした思い出。
そんなワクワクの物語を書いてる人が、実はとても社会派で、平和活動や人権活動に熱心だったことを知ったのは大人になってから。
当時のスウェーデン社会ではとっても珍しい、未婚の母という選択をしていたこと(のちに別の人と結婚)を知ったのも大人になってから。
「遊んで、遊んで……わたしたちが遊び死にしなかったのは、不思議なくらいです!」
と述べたほど、とてもとても幸せな幼少期を送ったリンドグレーン。ですが、思春期から未婚の母時は、とても憂鬱で苦労の時期を送っているんですね。だからなのかな・・・人の痛みが分かる人。
こちらの『リンドグレーンの戦争日記』、かなり分厚いです。なので、買うのにはちょっと勇気がいるかもしれません。3,400円ですしね。
【『リンドグレーンの戦争日記』内容】
作家デビュー以前のリンドグレーンが書いた六年に及ぶ「戦争日記」。日記帳には、新聞や雑誌の切り抜きが貼りつけられ、戦争中立国スウェーデンに暮らす三〇代の二児の母親が見つけ続けたリアルタイムの第二次世界大戦と、家族の日常が綴られている―何が起きているのかを知り、考えるために。そして誕生したのが、『長くつ下のピッピ』だった。リンドグレーンの原点であり、歴史ドキュメントとしても貴重な日記の全文を初公開。
(BOOKデータベースより転載)
実は、まだ読んでいません。戦争ものって、どうしても気が重くなってしまって、読むのにエネルギーがいるんですよね。目を背けているわけではないのですが。ただこちらの本は、石井登志子さんいわく、スウェーデンの美しい自然の描写がところどころ織り込まれていたり、等身大の母親としてのちょっとした悩み(息子の成績が悪いとか 笑)も入っているので、読みやすいそうです。
また、歴史学者なんかが語るのとは違った、主婦の視点から語られた、第二次世界大戦&世界情勢。ほかに例を見ないそう。
自分からは積極的には戦争ものを手に取ろうとは思わなくても、リンドグレーンが書いたものなら読んでみたい!と思う人もいると思うんですよね。だから、この本はすごく意味があるんだと思います。
最後にナルニア国のスタッフの方が、こんな言葉を紹介してくれました↓
明日死ぬかのように生き 永遠に生きるかのように学べ
色んな人が紹介してる言葉。ハッとしました。アウシュビッツという絶望の中にいても、学ぶことを忘れなかったユダヤ人の人たちのことも思い出しました。以前ご紹介した、ウーリー・オルレブの『砂のゲーム』とかね(そのときの記事は、こちらをクリック)
中立国であり、ユダヤ人の子どもたちの疎開を受け入れていたスウェーデン。それを描いた物語、『海の島』を始めとする、ステフィとネッリの物語4部作も、強く強くおすすめします!