人生悲劇?喜劇?自分次第!
『メロップス一家のわくわく大冒険1』トミー・ウンゲラー作
麻生九美訳 評論社
今日の一冊は、絵本と児童書の中間、絵本からの活字本への移行期にもおすすめの一冊。シリーズものです。
自分でも読めるけれど、読み聞かせてあげたら嬉しい一冊。
トミー・ウンゲラーは『すてきな三人ぐみ』など、たくさんの絵本を書いている作家さん。メロップスはちょっと画風が違うな。
このメロップス一家、特にお父さんがとっても軽いノリなんです!
この軽やかさが好きなんだな~。
たとえば第一話では、石油(←ダイナミック!)を掘り当てるのですが、馬鹿者のポイ捨てタバコで引火しちゃうんです。
そのとき、大変!お母さんがいない!火に追われてるときは、さすがのお母さんも恐怖の表情をしてるのですが、そのあと滝を見つけて滝の内側にいるときは、なんとも言えないユーモラスな表情。
そう、軽いんです、ノリが。馬鹿者とは書いてはいるけれど、
「なんであんな人がいるんだ!」
と責めたり怒ったりすることもない。さらにね、あんなにみんなで苦労して掘り当てた石油なのに、あっさり手放す。そして、なんだかんだいって、お母さんのケーキの食べれる日常が最高に幸せだよね♪って。
第二話でも大変な苦労をして、海底で宝物をゲットするのに、またまたあっさり手放す。
「こんなに苦労したのにー!」とか、とにかく執着がなくて、軽やかなの。
苦労したり、何かを失うと、人って悲劇になりがち。
でも、この物語は、「そんなに重く考えることかな?ケーキ食べれる幸せがあればいいんじゃない?」って軽やかに示してくれるのが、いいんです~。
全然教訓めいてないところも、いい!
実は、この軽さ・・・スゴイんじゃないかな、って。
こういうの読んで潜在意識に残ってるとね、ふと人生の中でツライことが起きたとき、軽い気持ちになれるんじゃないかなあ、って。
そりゃ、客観的に見たら大変かもしれないけど、それって重く捉える必要ある?って。
私のモットーの中に「真剣にはなっても深刻にはなるな」というのがあるのですが、それとも通ずるかなー。
この二つ、似てるけれど非なるもの。明るく真剣になることはできてもね、明るく深刻になることはできないんだな~。
よく人生は自分次第というけれど、本っっ当にそう思う今日この頃。
昨日ご紹介した『さよなら、スパイダーマン』にも通ずるのですが、悲劇は、やっぱりどこか自分に酔ってるところがあるのかもしれない。
「こんなかわいそうな私」「こんな大変な私」
見て見て。聞いて聞いて。みたいな。
メロップス一家みたいに、執着なく軽やかにいきたいな。美味しい手作りケーキがあれば言うことなし、ってね。