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雪の夜には時空を超えて


『月夜のチャトラパトラ』(2009年)新藤悦子著 講談社

関東は初雪ですね。我が家の子どもたちは、お椀を持って外に飛び出していきました(笑)。そして、戻ってきてメープルシロップをかけて、美味しい美味しいと。大草原の小さな家ローラシリーズの『大きな森の小さな家』思い出すなあ。

「どんよりと低くたれこめた雲から、はらはらと白いものが舞いおりてきた。この冬はじめての雪だ。」(P.7)

雪が深々と降る今夜ご紹介するのは、こんな一文から始まるトルコのカッパドキアが舞台の『月夜のチャトラパトラ』。優しい気持ちになれるファンタジーです。

以前も『青いチューリップ』のときにも書きましたが、私ね、日本人が外国舞台の外国人主人公の物語を書くのって違和感覚えてたんです。でも、新藤さんが書くとすーっと入ってくる。こちらの物語は、なんとトルコ語に逆翻訳されたんだとか。でもね、息子が兵役に取られて、村の女性がふさいでる場面は、トルコ語版ではカットされているそうです。兵役にネガティブな印象抱かせてはいけないから・・・。

さて、物語。チャトラパトラという何ともかわいらしい響きは、トルコ語で〈でたらめにしゃべる〉という意味なんだとか。主人公カヤ(12歳)にしか見えない小人たちがの名前です。カヤが住んでいるのは洞窟ホテル!もうそれだけで、ワクワク。そして、出てくる食べ物にもワクワク(笑)。ブドウの果汁を煮詰めて作ったペクメズ、そして、ペグメズを入れて飲むチャイ・・・ああ、飲んでみたい。ペグメズには不思議な力があるんですよ。

そんな観光オフシーズンの洞窟ホテルに泊まっているのは、日本人画家のヨーコとフィンランド人の若き考古学者ミッコ。ミッコは、世界に三冊しかない本がこのホテルにあると聞いて、やってきます。一体それはどんな本なのでしょう?チャトラパトラの秘密とは?カヤの秘密とは???

すんなりと時空を超えて、別の国へと連れて行ってくれる物語。カッパドキアならありうると思わせてくれる。日常の延長線上にあるファンタジー。

ところで、物語の中にね、みんなでマントゥと呼ばれるトマトソースで煮込んだ小さな水餃子のようなものを作る場面があるんです。雪で、行くはずだった探索ができなくなり、何か代わりになるイベントを・・・ということで、宿の女主人が思いついたのが、みんなでマントゥを作ること。水餃子のようだれど、小さく小さく作るマントゥ。こういう場面が何とも言えずいいんです。共同作業って、心の距離が縮まる。みんなで作るの楽しそう!

さてさて、何回も書きますが、そんな素敵な物語を書かれた新藤悦子さんを2月25日(日)に鎌倉にお呼びしますよ~!ぜひぜひ、観光がてらいらしてください!! 一部はNPO主催なので無料。二部は少人数限定なので、迷ってる方はお早めに♪

【第一部】

『イスラム世界を物語る - 絵本・児童文学から見る暮らしと文化 -』 13:00-15:00@鎌倉市中央図書館多目的室 参加費無料

※ こちらは、私も所属している図書館とともだち・鎌倉主催なので無料です!

【第二部】

『作家・新藤悦子さんと過ごすイスラムの食と織物の夕べ』

10名限定で新藤さんと食を囲みながら過ごすプレミアムな夕べですよ~。とっても、贅沢な時間!こんな機会めったに持てないので、これは早く予定押さえておいてくださいね。

場所は鎌倉市内の某所(参加者に直接お知らせします)。 17:00-20:00(参加費:4,500円)でトルコ家庭料理のミニ料理講習会付きです。

ご興味のある方は、問い合わせフォームからお願いします

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