海外(翻訳)文学が優れているわけ
すごーく炎上しそうなタイトル(笑)。
個人的に児童文学に関しては、海外文学、翻訳ものが好きです。
幼い頃から慣れ親しんできたのも、翻訳文学が多かった……と思っていたのですが、偶然残っていた小学校時代の図書カードを見てみたら、日本の作家さんのものもけっこう読んでいたんですね。ただ、印象に残っていなかった。圧倒的に面白いと思ったのは、翻訳もの。
■翻訳もの=選抜作品
個人的に外国文化への興味が強かったのかな、と思っていたのですが、それだけではなかったようです。翻訳関連の講演会に行って分かったこと。それは、
翻訳ものが優れているわけ、それは精査されているから
でした。翻訳ものって、国内のものに比べて、たくさんの関門を通過してきたものなんですよね。よく考えれば、当たり前すぎる事実なのですが(笑)。
編集さんの目を通して国内出版にこぎつける、これが第一関門。その次に、国内のあらゆる良いと評価された物語の中から、吟味されて、吟味されて、さらに翻訳したいと選び抜かれたものなんです。良いものが多いのは当たり前(それでもハズレもありますが 笑)。
昔は、編集者さんの存在とか全く意識したことありませんでしたが、今は良い物語に出会うと「ああ、編集者の方、ありがとう!」って思います。
■日本は翻訳文学パラダイス
そんな魅力ある翻訳文学。どの国でも、同じように外国の文学が翻訳されていると思っていたんですよね。イギリスでは、翻訳ものが圧倒的に他国に比べて少ないなんてことも知りませんでした。イギリスの感覚はこう↓
なぜ翻訳ものが必要?私たちは自国(イギリス)に優れた物語がたくさんあるのに
ほうほう。確かにヨーロッパは文化も似通っていて地続きだし、わざわざ翻訳しなくても似たような物語はあるわ、ってな具合なんですね。それは分からなくもないけれど、異文化に触れるようなものもたくさんあるのに、なんとモッタイナイ。
日本って翻訳文学パラダイスなんですって。島国の私たち、ある意味ラッキーです。私なんて、どれだけ本から異国文化に触れさせてもらい、新しい扉を開いてもらったことか。
日本ではロングセラーのものでも、原書ではとっくに絶版なんてものもあるのを知ると、翻訳者の方の文学の力にも頭が下がります。
ただ、学校ものなど、あまりにも制度が違って、感情移入できなかったり、親しみのないカタカナの名前の時点で、躓いてしまう子もいるのも事実。そういう物語は、舞台を日本に移して、日本バージョンで書けないか、編集者の方が作家さんに要請することもあるそう。
日本のものは、日本人にしか書けない物語、例えば伊藤遊さんの『鬼の橋』『えんの松原』みたいな物語が増えてくると嬉しいなあ。
以前、上橋菜穂子さんの守り人シリーズを英訳した方が、日本ならではの感覚を英訳する難しさを語られていましたが、そういう物語に出会うと、日本人でよかったなあ、としみじみ。
翻訳ものにせよ、日本のものにせよ、いま「数年売れればOK」という感覚のものが増えてきているのも、事実だそうです。ロングセラーにするためには、読み手も買いさ支えないと、ですね。