小宮由氏講演会:絵本は何のため?
日本キリスト教団・茅ヶ崎教会で行われた、小宮由さんの講演会に行ってきました!
たくさんの絵本を翻訳され、東京・阿佐ヶ谷で『このあの文庫』という家庭文庫活動をされている小宮さん。一つ一つが心に響くお話で、うまくまとめられませんが、お近くで小宮さんの講演会があったら、みなさん、ぜひぜひ!!!
ところで、なぜ教会で講演会?
と思ったのですが、こんなにぴったりな場所もないのだとしみじみ感じました。クリスチャンでもない私(しかも、どちらかというとアンチ・・・)が言うのもおかしいかもしれませんが、絵本の喜びを子どもに手渡すのって、キリスト者として生きる生き方そのものだなあ、って思ったんです。愛という言葉は陳腐で好きではないけれど、それは「愛の行為」なんだな、って。
■ 子どもたちに伝えたい二つのこと
でも、もちろん絵本なら何でもよいってわけじゃないですよね。
上から目線(大人の価値観)のもの、逆に下から目線(子どもに媚びる)のものでは、ちょっと違う。では、
・絵本にとってすぐれたお話とは?
・その前にそもそもどうして本を読んだほうがいいの?
・そもそもどうして自分は子どもの本を作っているのか?
そんな問いを抱えたそうです。そして、出てきた答えが、以下の二つを子どもたちに伝えたいというものだったそう。
・人の喜びを我が喜びとし、人の悲しみを我が悲しみとする(=相手の気持ちが分かる)
・幸せ(喜びに満たされる)とは何かを伝える
こう、書いてまとめてしまうと、あまり伝わらないかもしれませんが、直接お話を聞くと、どれだけ真摯に小宮さんが取り組んできたかが伝わってきて、泣きそうでした。
ただ、気を付けたいのは、大人の価値観による幸せ(特に経済的なもの)と、子どもの求める幸せは違うということ。私たちはココを忘れてはいけない。
■ 逆説的・反面教師的な手法に逃げない
今回のお話の中でも、ああ、やっぱり!と嬉しくなったのは子ども時代は、喜びの時代であり、批判的なものはいらない、というお話。
戦争のことを語り継ぐことは大事。でもね、7歳以下の子どもには戦争の悲惨さ=不幸を伝える必要はないってこと、ハッキリとおっしゃっていただいて心強かった。
シュタイナーによると、7歳までは模倣と模範の時期なんですね。だから、理想を見せてあげる。批判的なものではなく、肯定的なものが子どもを成長させる。だから、戦争絵本はいらない!
きっぱり、ハッキリ。
もちろん、戦争の悲惨さを訴えることも大事。けど、伝える対象が間違っている、と。
実際に戦争を起こすのは、子どもじゃない、大人。その中でも政治家です。動かせるのは政治家。だったら、政治家に伝えるべきでは?というお話には、心の中で猛烈に拍手をしました!
■ 絵本=文学、赤ちゃん絵本=道具
もう一つ、個人的にすっきりしたのは、「絵本」と「赤ちゃん絵本」の違い。
私、どうも赤ちゃん絵本は親しみがなくて、自分の子どもにもあまり読んでこなかったんですよね。絵本読んであげるより、赤ちゃん眺めていたい。ベタベタしていたい。
でも、物語のある絵本は大好きで、親子で一緒にその世界に入っていけるんです。だから、2歳過ぎからは、いっぱい読んでいました。
小宮さんがおっしゃるには、絵本は子どもが最初に出会う文学、赤ちゃん絵本は大人にとっての道具、とハッキリおっしゃいました。そして、子どもが文学を理解できるのは、2歳半くらいからだと。
誤解なきよう。赤ちゃん絵本が悪いわけじゃないんです。どう、赤ちゃんとコミュニケーションを取っていいか分からないお母さんにとっては、とっても良き仲介者なんですから。
でも、必要を感じない人は、読まなくては!と特に焦る必要もない。
そのほかにも、たくさん素晴らしいお話をしてくださいました。
特に、トルストイ翻訳家のおじいさま北御門二郎氏のお話は、涙腺を押さえるのに必死でした。その話はまた別途書きますね。
一緒に行ったお友だちが、スッキリとレポまとめてくれているので、そちらもどうぞ↓