富安陽子さん講演会
『まゆとかっぱ』(2018年)富安陽子作 降矢なな絵 福音館書店
毎年、夏は児童文学作家をとりあげている鎌倉文学館。
今年は、富安陽子さんで、その講演会に行ってきました。
隣の席に座ったのが、偶然にも次男の担任の先生で、ビビリましたが(←)楽しかったです!
絵本制作秘話など盛りだくさんだったのですが、印象に残ったのは富安さんが育っていきた環境のお話。富安さんのおうちは、おばあちゃん、お父さん、伯母さんが筋金入りのホラ吹きだったんですって(笑)。その血をついで、いまの作家富安さんがある。
嘘は自分を守るためにつくからいけないけれど、ホラは他の人たちを楽しませるためにつくからいい
と言われて育ったそう。確かに、確かに。
思えば、北欧の代表的な現代作家ウルフ・スタルクの『うそつきの天才』(紹介記事はコチラをクリック )も、ウソというよりホラに近かったのかな。スタルクのは完全に自分を守るためのものだったけど(笑)、でも他人を陥れるためのものじゃなかったものね。
ホラ吹きって、想像力豊かなストーリーテラーなんですよね。
心に残ったのは、良い子には十五夜に月のウサギが餅をまいてくれるお話。
良い子にしてれば・・・ってちょっとサンタさんみたい(笑)。
夜空から降ってきて、庭にぱっと散らばった餅。あまりにもその晩の光景が美しくて、ずっと友だちなどには言わず、心に秘めていたそうです。でも、あるとき伯母さんに「こういうことあったよねえ」と確認したら、「まだ信じとったん?」と言われてしまったと。その時、「ああ、私が口に出してしまったから罰がくだったんだ」と感じたそう。
うん、サンタクロースも同じですよね。親だとバラしたとたん、中学生の男の子ですら泣きだしたというエピソードを思い出しました。私自身に関して言えば、大人になったからも決してサンタさんのことについて触れなかった両親のおかげで、いまだに心のどこかで事実とは別にサンタクロースが存在しているんです。
真実と事実は違う
心に秘めた真実は、他人と共有したとたんに、事実に押しつぶされてしまうことがある。
だから、本当に大事なこと、感動したことは人には言わず、自分だけの中に留めておく。いつか誰かと共有することはあるかもしれないけれど、軽々しく表に出すものじゃないんだなあ。そして、そういう思い出が自分を支えてくれるんだな、と再確認。
とっても楽しいお話をありがとうございました!